|
良い紙を漉くにはまず良い原料を得ることが必要です。原料は、かつて大江山一帯で栽培していたコウゾ(楮)を使ってきました。しかし、その数も年々減少し、最近では栽培農家に委託して町内の畑で栽培されています。
楮は十二月に刈り取り、一メートル程の長さに切りそろえます。大釜に入れて蒸し、木と皮を剥がして皮を一年分貯蔵しておくためにカラカラに乾燥させます。必要な時に必要な分だけ倉庫から取り出し、川に一昼夜さらしてアクを抜き、ソーダー灰で柔らかくなるまで炊き出してから紙を漉きます。
最近では、フィリピンやタイなど気候の温暖な地域で大量に栽培されていますが、暖かいと成長も早いので繊維が長くなります。繊維が長くなるということは粒子は粗いわけですから、漉いたときにゴワゴワしたものになります。その点、大江町で栽培された楮は、栄養が行き届くように芽かきをして十分な日光を浴びて育っていますので、繊維が細かく良質の楮が栽培できるのです。
「楮は深く根を張りめぐらせる性質があるので、岸が崩れないように畑一面に栽培されていました。畑には作物を作っているのでそれなりに栄養分もあります。その栄養分を吸って良質の楮が栽培できるのです」。
大江町産の楮は繊維が短いので、紙が柔らかいのが特徴。とりわけ田中さんの漉く紙は全国的にも評価が高く、文化財の修復にも一役買い、金閣寺や建仁寺の内張りなどにも使われています。
|