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◎伝承者 長澤五子さん
(篠山市一印谷・昭和15年生まれ)
篠山市一印谷の長澤家では、米俵を松で飾り、これを年神のご神体とし、その前に重ね餅、大豆を炒り溶かした餅でこぶし大に固めたトジマメを入れた一斗枡、蓬莱飾りをした三方、トシシバを供えて祀る。正月、家人が揃って年神を拝し、雑煮を食べ、一年中健康(まめ)に生活できるようにとトジマメを食べる。トジマメは保存しておいて初雷が鳴ったときに食べると雷が落ちない、あるいはトジマメを放り投げると火事がおさまるともいう。
年神や歳徳神(としとくじん)などと呼び正月に家に迎え祀る神は、米倉の貯蔵庫や俵をご神体として祀られていることからもわかるように、作神(さくがみ)(※2)としての性格を顕著に示す神である。現在、年神の司祭者である年男は家長とする地方が多いが、古くは「産み育む」能力をもつ主婦が司祭者となっておこなわれてきたと考えられている。司祭者である主婦と年神との関係からみると、トジマメはシャーマンとしての主婦の霊力を表す神饌であるといえるだろう。
年神祭祀とトジマメの習俗には、年神を「祀る」ことによって家の安泰や作物の豊穣を願い、トジマメを「食べる」ことによって年神・主婦のエネルギーを体内に取り込み生命の再生を期待するという日本人の連続した願望が表れている。
※1:神に供える食物のこと。 ※2:農耕の神のこと。
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